2018/03/14

学校法人の決算 2



 今月は学校法人の決算について解説しています。第2回目以降は、個別の決算事項について説明をしていきます。今回は、前回の続きと固定資産及び流動負債の項目を扱います。


2.個別の決算事項(続き)
(5)有価証券
②有価証券の時価注記
 有価証券の時価情報の注記には、時価のある有価証券の貸借対照表計上額、時価及びその差額を記載します。満期保有目的の債券については、会計年度末において含み損益がある場合でも実現する可能性が低いことから、時価情報の注記に内書きにより記載することが望ましいとされています。また、保有する有価証券を債券、株式、投資信託、貸付信託、その他に区分し、その種類ごとの時価情報を記載します(「計算書類の注記事項の記載に関するQ&A(日本公認会計士協会 学校法人委員会研究報告第16号)」。

(6)固定資産
①固定資産の減価償却
 固定資産のうち時の経過によりその価額が減少する減価償却資産については、定額法により減価償却を行うものとされています(学校法人会計基準第26条)。したがって、各学校法人で定めた耐用年数や備忘価額など減価償却の具体的な方法に基づいて減価償却額を計算することになります。
 また、年度の中途で取得した固定資産については、当該固定資産の年間の減価償却額を月数按分する方法や、重要性のない場合には以下の簡便的な償却方法も認められています(「学校法人の減価償却に関する監査上の取扱い」(日本公認会計士協会学校法人委員会報告第28号))。
(イ)取得時の会計年度は、償却額年額の2分の1の額により行う
(ロ)取得時の会計年度は、償却を行わず、翌会計年度から行う
(ハ)取得時の会計年度は、償却額年額により行う

 ②貸借対照表の記載
 減価償却資産については、減価償却額の累計額を控除した後の残額で貸借対照表に計上し、減価償却額の累計額の合計額を計算書類の注記に記載します(学校法人会計基準第34条第3項)。

(7)特定資産
 将来の特定の支出に備えるため、使途を特定して資金を留保した場合に特定資産を設定し、引当特定資産として計上します。
 また、将来の施設設備の取得のために、理事会や評議員会において第2号基本金組入計画を決定しているときは、当該取得の準備資金であることを明確にするため、第2号基本金引当特定資産に計上します。
 なお、特定資産のなかには、以下のとおり、繰入の目的に応じた繰り入れ限度額がある場合があります。
①既存校舎等の建て替え等に充てるために特定資産に繰り入れた減価償却引当特定資産の繰り入れ限度額は減価償却累計額となる。
②退職給与の支給に充てるために特定資産に繰り入れた退職給与引当特定資産等の繰り入れ限度額は退職給与引当金の計上額となる。
 繰り入れ限度額を超えて特定資産の繰り入れを行っているときは、いったん取り崩す処理が必要になります。

(8)前受金
 翌会計年度に入学する生徒が納付した入学金等のように会計年度末までに納付された翌会計年度の学生生徒等納付金収入の受入額は前受金に計上されます。

(9)未払金
 機器備品や消耗品などの物品の購入代金や修繕費等の役務提供を受けた場合の代金の未払額は未払金に計上します。
 リース取引にかかる債務を未払金に計上している場合には、1イヤールールにより、期末日後1年以内に支払予定のリース料を未払金、1年超のリース料を長期未払金に計上します。すなわち、長期未払金に計上したリース料のうち、期末日から1年以内に支払う部分については、流動負債の未払金勘定へ振替え処理を行います。
 「小規模法人における会計処理等の簡略化について(報告)について」(通知)(昭和49年3月29日 文管振第87号)」では、知事所轄学校法人を対象として、電気、水道、電話、保険料等の一定の契約に基づいて継続的に受ける用役に対する支出について、会計年度末に未払金や前払金の計上を省略し、支出した会計年度の事業活動支出として処理できるものとしています。

(10)消費税
 当会計年度分の納付すべき消費税又は還付を受ける消費税は、それぞれ未払金又は未収入金に計上するものとされています(「学校法人における消費税の会計処理及び監査上の取扱いについて(中間報告)(日本公認会計士協会 学校法人委員会報告第34号)」。また、学校法人は税込方式を採用することが適当であるとされており、特別な事情により税抜方式を採用するときには、計算書類の注記において、税抜方式を採用している旨及び控除対象外消費税の処理方法を記載するものとされています。

                                      永和監査法人
                                      公認会計士 大島隆光
  








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