2017/07/19

公認会計士監査と監事との連携 3

 前回までは、学校法人にかかわる公認会計士監査のうち、私立学校振興助成法に基づく監査と寄付行為等の認可申請時の財産目録監査について説明しました。

 今回と次回は、公認会計士監査とかかわりのある監事監査や内部監査について解説していきます。まず、学校法人の監事及び監事による監査について説明します。

1 監事の選任等
 学校法人には、役員として監事を2名以上置く必要があります(私立学校法第35条第1項)。監事は、評議員会の同意を得て、理事長が選任するものとされています(同第38条第4項)。
 監事の選任にあたっては、現に当該学校法人の役員又は職員でない者が含まれるようにしなければならず、又、役員のうちに配偶者又は三親等以内の親族が1人を超えて含まれてはなりません(同第38条第5項、第7項)。
 監事は、理事、評議員又は学校法人の職員を兼ねることができません(同第39条)。

2 監事による監査
 学校法人の監事の職務は、学校法人の業務を監査すること、財産の状況を監査すること、毎会計年度に学校法人の業務及び財産の状況について監査報告書を作成し、年度終了後2ヶ月以内に理事会及び評議員会に提出することです(私立学校法第37条第3項第1~3号)。
 また、監査の過程で学校法人の業務又は財産に関し、不正の行為又は法令若しくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、理事会又は評議員会に報告し適切な対応を求め、それによっても対応がなされない時には所轄庁へ報告することとされています(同項第4条、私立学校法の一部を改正する法律等の施行について(通知)平成16年7月23日 文科高第305号)
 監事による学校法人の業務の監査は、経営的な面と教学的な面の双方が含まれています。これは学校法人が学校の設置管理を行うことを目的して設置される法人であり、教学的な面についても学校法人の経営に関連する問題がありうるためです。
 したがって、監事の監査が個々の教員の教育研究内容にまで立ち入ることは適当でないとされていますが、学部等の新増設や教育研究における重点分野の決定、学生の募集計画等の教学的な面について、学校法人の運営上明らかに妥当でない事項がないか監査することになります。
 なお、監事による監査をより充実させる観点から、学校法人では理事から監事へ学校法人の業務の状況について定期的に報告することや監事の監査を支援するための事務体制等の整備を行うこと等の取組が期待されています。

3 監事による会計監査
 監事が行う会計監査については、学校法人が監査の基準や実施方法を定め、監査を行うことになります。以下では平成24年11月に一般社団法人日本私立大学連盟から公表された「私立大学の明日の発展のために -監事の役割の再認識-」をもとにして監事による会計監査の方法を紹介します。

(1)期中監査
 期中監査は、期中取引記録の監査を中心として、予算の執行状況や適正な職務執行がなされているかを検証します。主な監査項目は以下のとおりです。
 ・内部監査、公認会計士監査の監査方針、監査計画の相当性
 ・予算の執行状況の適正性
 ・取引記録の正確性
 ・固定資産等の購入、譲渡、廃棄等の手続の適正性、価格の妥当性

(2)期末監査
 期末監査では、財務担当部署から決算の状況について報告を受け、計算書類等の監査を行います。また公認会計士監査についても、実施した会計監査の状況や問題点の有無などについて報告を受け、効率的に自らの会計監査を実施します。主な監査項目は以下のとおりです。
 ・決算整理、会計帳簿の正確性
 ・計算書類、財産目録の正確性
 ・予算と決算の差異等の適切性
 ・財務の健全性や財産の管理状況の妥当性
 上記の監査手続により学校法人の業務及び財産の状況について監査を行い、監査報告書を作成し、理事会及び評議員会へ報告することになります。

                             (公認会計士 大 島 隆 光)



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