2017/04/19

国等の特例のポイント 1

 前回までは、簡易課税制度のポイントを取り挙げました。今回からは、原則課税制度を採用している学校法人にとって1番のポイント、いわゆる国等の特例、すなわち「国、地方公共団体等に対する仕入税額控除の特例」を取り挙げます。


1.国、地方公共団体等に対する仕入税額控除の特例

 学校法人は、「等」の部分に含まれます。原則課税制度を採用しているほとんどの学校法人に、この特例が適用されます。特例が適用されますと、仕入れに係る消費税額が減りますので、結果として納付すべき税額が増えることになります。学校法人にとっては嬉しくない特例です。

「納付すべき消費税額」 = 「課税標準額に対する消費税額」 - 「仕入れに係る消費税額」
     ↑                             ↑
     増 加                            減 少

 学校法人のような公益性が高い法人は、補助金や寄附金といった対価性のない収入を恒常的な財源としています。この場合、通常の市場原理が働いていない対価性のない収入を原資とする部分については、仕入れに係る消費税額として控除することは合理性が無いと説明されています。
 少子化の影響もあり、学校法人の競争が高まっている現状では、市場原理が働いていないと説明されることは納得がいかない部分もありますが、消費税法ではこのように捉えています。


 特例の適用がある場合、課税仕入れのうち対価性のない収入に対応する部分については、イメージのように課税仕入れとして控除することができません。課税仕入れができないということは、その部分の仕入れに係る消費税額が減少することであり、結果として納付すべき税額も増加することになるわけです。

「仕入れに係る消費税額」
  = 「調整前の仕入れに係る消費税額」 - 「特例の適用を受けた仕入れに係る消費税額」

2.特定収入

 1で述べた対価性のない収入のことを、「特定収入」といいます。具体的には、資産の譲渡等の対価以外の対価性のない収入で、借入金、預り金及び貸付回収金など以外の収入をいいます。
 学校法人の収入のうち、特定収入に該当するものとして、以下のようなものが挙げられます。

 ● 特定収入に該当するもの
    ①補助金収入        ②交付金収入
    ③寄附金収入        ④保険金収入
    ⑤損害賠償金収入      ⑥負担金収入 など

 3.調整割合
 
仕入れに係る消費税額から差引く部分の消費税額は、調整割合という割合を用いて計算します。

「仕入れに係る消費税額」
= 「調整前の仕入れに係る消費税額」 - 「特例の適用を受けた仕入れに係る消費税額」
                           ↑
                       調整割合により計算する

 ここに調整割合とは、次の算式により計算した割合をいいます。




 使途不特定の特定収入とは、特定収入のうち、その使途が法令、交付要綱等により定められていないものをいいます。使途まで法令、交付要綱等により定められている補助金などは、実際は多くありません。特定収入の大部分は、この使途不特定の特定収入といえます。

 

照 井 俊 行

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