2017/07/12

公認会計士監査と監事との連携 2


前回は学校法人に対する公認会計士監査のうち、私立学校振興助成法に基づく監査について説明しました。今回は、学校法人の寄附行為等の認可申請に係る書類の様式等の告示に基づく財産目録監査について解説していきます。

1 学校法人の財産目録の監査
   私立学校法では、学校法人を設立しようとする者や学校法人が寄附行為等の認可申請をする
  以下の場合に、財産目録等及び財産目録に対する公認会計士の監査報告書を提出することを
  求めています(私立学校法施行規則第2条第2項第1号、7号)。
  ・学校法人を設立しようとする者が私立学校法第30条の規定により寄附行為の認可申請をする
    場合
  ・同法第45条の規定により寄附行為の変更の認可申請をする場合
  ・同法第64条第6項の規定により寄附行為を変更して組織変更の認可申請をする場合

2  財産目録の作成の基準
   上記のとおり、学校法人が寄附行為等の認可申請をするときには、財産目録その他の最近
  における財務の状況を知ることができる書類を提出することとされています。財産目録の作成
  にあたり、「学校法人の寄附行為等の認可申請に係る書類の様式等」(平成6年7月20日 文部
  省告示第117号)が財産目録の様式を定め、「財産目録の作成に係る基本方針」が財産目録の
  具体的な作成方法を定めています。

3  財産目録監査の概要
    寄付行為等の認可申請にかかる財産目録の監査については、日本公認会計士協会から「学
  校法人の寄付行為等の認可申請に係る書類の様式等の告示に基づく財産目録監査につい
  て」(学校法人委員会第40号)が公表されています。以下では、財産目録監査の概要について
  解説します。

(1) 財産目録に適用される財務報告の枠組み
    適用される財務報告の枠組みとは、学校法人が作成する財産目録の場合、学校法人又は理
  事者が財産目録を作成し開示するときに採用する財務報告の枠組みをいい、告示117号や財
  産目録を具体的に作成するために所轄庁が定めている「財産目録の作成に係る基本方針」(平
  成27年3月 高等教育局私学部私学行政課法人係)(*)が該当します。
    財産目録は、寄付行為等の認可申請に対して所轄庁が審査したうえで認可を決定するため
  に提出される書類の一つであり、利用者は学校法人の寄付行為及び寄付行為の変更の認可
  をする所轄庁に限定されており、特定のニーズに対応したものです。
    また、「財産目録の作成に係る基本方針」1.基本的な考え方(1)においても、財産目録の目
  的を計画する教育研究を実行するに支障のない内容の資産や教育研究環境を備えているか
  確認するための書類と位置づけ、基本的な作成方法を定めています。
   したがって、財産目録は、特定の利用者のために、そのニーズに適合した財務報告の枠組み
  に基づいて作成されるものであることから、「特別目的の財務報告の枠組み」とされ、告示117
  号に準拠しているかが要求されるのみで、追加開示の規定がないことから、「準拠性の枠組」で
  あるとされています。
  (*)なお、「財産目録の作成に係る基本方針」1.基本的な考え方の(3)において、当該方針に
  いう財産目録とは「学校法人の寄付行為及び寄付行為の変更の認可に関する審査基準(文部
  科学省告示)」により申請を行う場合に提出する財産目録(様式6号その1)をいい、私立学校法
  第47条で定める財産目録に制限を課すものではないとされています。

(2)財産目録監査の特徴
    財産目録は、所轄庁が寄付行為等の認可申請を審査するにあたり提出を求める書類であ
  り、利用者である所轄庁が定めた作成方法に準拠して作成、開示されるものです。そのため、
  財産目録に対して発行される公認会計士の監査報告書には、以下のような特徴があります。

 ①財産目録作成の基礎の記載
   財産目録の監査は特別目的の財務諸表の監査であるため、監査報告書には、会計の基準、
  財務諸表等の作成の目的、想定される主な利用者の範囲が記載されます。具体的には、会計
  の基準として、「学校法人の寄付行為等の認可申請に係る書類の様式等」(平成6年7月20日
  文部省告示117号)に準拠して作成されている旨、作成の目的として新設等のための認可申請
  にあたり文部科学省へ提出することを記載し、想定される主な利用者の範囲として所轄庁が記
  載されます。
  ②配布及び利用制限
    財産目録は、寄付行為等の認可申請のために申請書類の一部として作成されるものであ
  り、監査報告書をあわせて所轄庁へ提出されます。そのため、学校法人や所轄庁以外に配布
  や利用されることは想定されていませんが、利用者の誤解を避けるため、必要に応じて監査報
  告書に配布及び利用制限が付されることがあります。
  ③その他の事項
    増設に伴い寄付行為の変更にかかる認可申請をする場合等で、財産目録の監査を行う公認
  会計士が私立学校振興助成法に基づく監査を実施しているときは、私立学校振興助成法第14
  条第3項の規定に基づく監査の監査報告書を発行している旨が記載されます。
                                  (公認会計士 大島隆光)

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