2017/01/18

内訳表について 3

 前回は「資金収支内訳表等の部門別計上及び配分について(通知)」(文管企第250号 昭和55年11月4日。以下、250号通知といいます。)に関し、主に「学校法人」部門の業務の範囲と「学校法人」部門に計上する収入額及び支出額について解説しました。250号通知における会計上の「学校法人」部門と実際に各学校法人に設置される組織上の法人本部の業務とは必ずしも一致していないことを改めて確認して頂けたことと思います。今回は、250号通知における人件費支出の取扱いについて解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 250号通知においては、人件費支出について以下の取扱いを求めています。

① 教(職)員人件費支出については、各部門、各学部・学科等のいずれの教(職)員として発令されているかにより計上する。発令の内容によりいずれの部門、学部・学科等の教(職)員であるか明らかでない場合は、主たる勤務がいずれであるかにより計上する。
② 「学校法人」部門の職員人件費支出については、①の取扱いにかかわらず、「学校法人」部門の職員として発令されている者のうち、主として「学校法人」部門に掲げる業務に従事する職員についてのみ「学校法人」部門に計上する。その他の職員に係る人件費支出は主として行う業務の所属するそれぞれの部門、学部・学科等に計上する。
③ 医・歯学部及び附属病院の教員人件費支出のうち臨床系教員の人件費支出については、①の取扱いにかかわらず、授業科目を担当する教員に係る人件費支出を学部に計上し、その他の教員の人件費支出を附属病院に計上する。

 上記①は、いわゆる「貼り付け」といわれる方法です。すなわち、各部門に共通する業務を行っている教職員についても個別に特定の部門に割り当ててしまい、当該教職員の給与等を按分せず、すべて割り当てた部門に全額計上するという方法です。「貼り付け」の方法については、原則として「発令基準」によりますが、これによりがたい場合には「従事基準」が示されています。「発令基準」とは、原則として各部門、各学部・学科等のいずれの教職員として発令されているかによって計上する方法であり、「従事基準」とは、主たる勤務がいずれであるかによって計上する方法です。「主たる勤務がいずれかであるか」の判定は、通常授業時間数や従事時間数、事務量、学生数等が基準となりますが、勤務の実態や給料の高低等も勘案することが必要な場合もあるでしょう。

 通常、人件費支出を各部門、各学部・学科等に計上する場合、最も問題となるのは一般教養担当教員や法人本部又は法人事務局の職員の所属部門を特定することであると考えられます。このため、250号通知では、発令の内容によっては、いずれの部門、学部・学科等の教職員であるか必ずしもわからないことがあるため、「発令基準」のほかに「従事基準」を示しています。なお、従事基準を適用する場合、例えば勤務時間数が最も多い部門に計上するということであり、1人の教(職)員の給与等を関連する部門等に分割して計上することはありません。したがって、人件費支出については、「部門共通」等のような共通経費として計上されることはない点にご留意ください。

 「発令基準」の原則は、実態を認識するための1つの手段であり、実態と形式が大きく乖離している場合には、会計処理は実態に即して経理します。したがって、例えば、採用時の都合により高校の教員として発令されている者が、実際には中学校の教員として勤務している場合には、その人件費支出は中学校に計上します。ただし、補助金の申請等と一致していることが必要です。非常勤講師についても発令が原則ですが、一般的に非常勤講師は、それぞれの部門との契約に基づいて、授業時間、給与等の勤務内容が定められることが多いため、当該契約内容に応じて部門ごとに人件費を計上します。なお、本部事務局等で一括して給与等を支給している場合であっても、各部門ごとの当該講師の授業時間数等により負担すべき額を各部門に計上することになります。

 上記②は、「学校法人」部門に計上される職員人件費支出について、その範囲を非常に狭く限定し、「学校法人」部門の職員として発令されている者のうち、250号通知で示されている「学校法人」部門の業務に主として従事している職員についてのみ「学校法人」部門の職員人件費支出として計上することを示しています。このため、小規模な学校法人では、相対的に「学校法人」部門の業務に携わる職員の比重が小さくなり、場合によっては、「学校法人」部門に計上される職員人件費がゼロとなることも考えられます。

(参考)「学校会計入門」改訂第7版 齋藤力夫編著(中央経済社)


(公認会計士 芦 澤 宗 孝)

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