2016/03/09

教育研究経費と管理経費のポイント(2)

 3月の第2週目は、先週に続いて教育研究経費と管理経費の区分について考えていきます。今週は実務上、重要な通知である雑管第118号を検討しています。


1.教育研究経費の範囲
 先週の学校会計のチカラでは、学校法人会計基準上、教育研究経費と管理経費に区分することの必要性についてふれていますが、この区分については、従来から教育研究経費に含めるものの範囲を①広く解釈する、②狭く解釈する、2説がありました。①の広く解釈する根拠は、学校法人は教育研究活動を目的として設立された組織であるため、学校法人で発生する全ての経費は教育研究のための支出であるとの考え方によります。ただし、管理経費の区分が示されていることを考慮すると、例えば学校法人の間接部門、学校法人本部等に関係する経費は教育研究経費とせずに管理経費に区分すると考えています。
 これに対して、②狭く解釈する根拠は、学校法人で発生する経費は教育研究活動を目的とした支出であるが、あえて経費区分を2つ規定しているのは、教育研究活動と直接関係する支出は教育研究経費に区分すべきであるが、そうではない支出は教育研究経費に含めずに管理経費に区分すべきであるとの考え方によります。


2.雑管第118号の内容
 学校法人会計基準では、支出した経費を教育研究経費と管理経費に区分すると規定しており、実務上は以下の雑管第118号通知が教育研究経費と管理経費の区分を考える上で重要となります。
 昭和46年9月30日、学校法人財務基準の調査研究会からの報告(教育研究経費と管理経費の区分について)を受けて、文部省管理局長通知「教育研究経費と管理経費の区分について(報告)」について(通知)、雑管第118号(昭和46年11月27日)が示されました。この通知では、「次の各項に該当することが明らかな経費は、これを管理経費とし、それ以外の経費については主たる使途に従って教育研究経費と管理経費のいずれかに含めるものとする。」と規定しており、以下の7項目を明記しています。

 ① 役員の行なう業務執行のために要する経費および評議員会のために要する経費
 ② 総務・人事・財務・経理その他これに準ずる法人業務に要する経費
 ③ 教職員の福利厚生のための経費
 ④ 教育研究活動以外に使用する施設、設備の修繕、維持、保全に要する経費
   (減価償却額を含む。)
 ⑤ 学生生徒等の募集のために要する経費
 ⑥ 補助活動事業のうち食堂、売店のために要する経費
 ⑦ 附属病院業務のうち教育研究業務以外の業務に要する経費

 上記①から⑦までの7項目に該当することが明確な場合は、管理経費に区分することが求められています。この規定により、学校法人間で統一した経理処理の確保が期待されますが、それ以外の経費については各学校法人の判断により区分することになります。そのため、各学校法人では教育研究経費と管理経費の区分に関する合理的な基準を設けて会計処理する必要があります。
 なお、雑管第118号は、上記「1.教育研究経費の範囲」の「①広く解釈する考え」に近いと思われます。
 また、雑管第118号には①から⑦に関する留意事項が解説されています。実務上、教育研究経費と管理経費の区分を考える上で有用であり、参考になると思いますので、以下に要約を記載します。

①の留意点
 「役員の行なう業務執行のために要する経費」とは、役員が学校法人のために直接行う狭義の業務執行から発生する経費をいいます。

②の留意点
 大学の学部や附属高校などが学校法人本部とは離れた場所で教育活動を行っており、各地で総務・人事・経理等の法人本部の業務に関連する経費が発生している場合は、管理経費に区分します。

③の留意点
 教員に関する福利厚生費であったとしても管理経費に含めることになりますので、留意する必要があります。

④の留意点
 減価償却額は、資金収支計算書には計上せず事業活動収支計算書に計上します。
 なお、施設、設備の修繕、維持、保全に要する経費は、資産と経費の区分の考え方と合わせて検討することが望ましいです。資産と経費の区分については、今月の学校会計のチカラ第5週目で考えたいと思います。

⑤の留意点
 入学選抜試験に要する経費は管理経費ではなく、教育研究経費に含めることになりますので、留意する必要があります。

⑥の留意点
 全寮制の学校における寮関係経費は、教育研究経費に区分しますが、遠隔地からの学生の一部に対して寄宿舎を用意する場合は、管理経費に区分することが望ましいと考えられます。

⑦の留意点
 医学系の学部等を設置する学校法人に関する問題です。なお、「大学の附属病院に係る計算書類の記載方法について(通知)」(25高私参第15号、平成25年11月27日)では、医療業務に要する経費は、「教育研究経費支出」の大科目の中に「医療経費支出」の中科目を設けて処理すると規定しています。


【参 考 文 献 等】
 ・学校会計入門               (中央経済社、齋藤力夫)
 ・学校法人会計のすべて           (税務経理協会、齋藤力夫)
 ・「教育研究経費と管理経費の区分について(報告)」(通知)」
            文部省管理局長通知、雑管第118号(昭和46年11月27日)
 ・「大学の附属病院に係る計算書類の記載方法について(通知)」
            文部科学省高等教育局私学部参事官、25高私参第15号(平成25年11月27日)

                                (公認会計士 佐 藤 弘 章)

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