2016/02/10

リース取引について

 今回は、学校法人におけるリース取引について検討しましょう。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

 学校法人のリース取引については、教育研究用の機器備品をはじめ、スクールバス等各種資産に範囲が広がるとともに、取引量も年々増加する傾向にあります。また、企業会計基準の改正の背景となったリース取引に係る経済的実態を的確に計算書類に反映させる要請等については、学校法人会計に関しても同様と考えられます。このため、学校法人会計においても、ファイナンス・リース取引については、一定の場合を除き、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理を行うこととし、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を廃止する等、リース取引に関する会計処理について、その取扱いの統一を図っています(リース取引に関する会計処理について(通知) 平成20年9月11日 20高私参第2号)。


「ファイナンス・リース取引」とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生ずるコストを実質的に負担することとなるものをいいます。また、「所有権移転ファイナンス・リース取引」とは、ファイナンス・リース取引のうち、次のいずれかに該当するものをいいます。

① リース契約上、リース期間終了後又はリース期間の中途で、リース物件の所有権が借手に移転
  することとされているもの
② リース契約上、借手に対して、リース期間終了後又はリース期間の中途での割安購入選択権
  (名目的価額又はその行使時点のリース物件の価額に比して著しく有利な価額で買い取る
  権利をいう。)が与えられており、その行使が確実に予想されるもの
③ リース物件が借手の用途等に合わせた特別な仕様によるものであって、当該リース物件の返還後、
  貸手が第三者に再リースし、又は売却することが困難であるため、その使用可能期間を通じて
  借手によってのみ使用されることが明らかなもの

 また、「所有権移転外ファイナンス・リース取引」とは、ファイナンス・リース取引のうち、所有権移転ファイナンス・リース取引以外のものをいい、「オペレーティング・リース取引」とは、リース取引のうち、ファイナンス・リース取引以外のものをいいます。


 次にファイナンス・リース取引の具体的な会計処理に関し、学校法人で頻出すると思われる通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理が可能どうかの判断基準ついて検討しましょう。
 まず、ファイナンス・リース取引については、リース取引開始日に通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、リース物件(ex.スクールバス)及びこれに係る債務を、それぞれ該当する固定資産等の科目(ex.車両)及び負債の未払金(又は長期未払金)に計上します。ただし、次のいずれかに該当する場合には、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことができます。

①  リース料総額が学校法人の採用する固定資産計上基準額未満のもの(リース物件が少額
重要
  資産の場合を除く。)
②  リース期間が1年以内のもの
③  リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のもの(ただし、所有権移転外ファイナンス

  ・リース取引に限る。)

①は、学校法人の採用する固定資産の計上基準が10万円であった場合、リース契約に基づくリース料総額が10万円未満である場合です。②は、そもそも固定資産として計上する目的は複数年にわたって減価償却費を按分することにありますので、リース期間が1年以内であれば、結果的に賃貸借処理をすることと同様の結果となるためです。③は、金額的重要性の観点から認められるものですが、所有権移転外ファイナンス・リース取引についてのみ認められる点にご注意ください。なお、③については、より具体的なQ&Aが日本公認会計士協会より公表されておりますので、以下抜粋します。(下線筆者加筆)


「リース取引に関する会計処理について(通知)」に関する実務指針
    (学校法人委員会報告第41号 平成21年1月14日 日本公認会計士協会)
  
Q ファイナンス・リース取引の会計処理のうち、「通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことができる」ことについて、次の例で具体的に教えてください。なお、学校法人の採用する固定資産計上基準額は税込みで10万円とします。
(中略)
(3) リース期間は1年を超えており、リース契約金額は400 万円、その内訳が教育研究用機器備品1台当たりのリース料総額9万円のものが30 台と、車輛1台当たりのリース料総額130 万円のものが1台である場合


 A
(3) 所有権移転ファイナンス・リースと所有権移転外ファイナンス・リース取引のそれぞれについて示すと以下のとおりである。

① 所有権移転ファイナンス・リースの場合
 リース期間が1年を超えているため、リース料総額が学校法人の採用する固定資産計上基準額未満かどうかで判定する。
 また、リース料総額が学校法人の採用する固定資産計上基準額未満であるか否かの判定は、リース契約に複数の単位のリース物件が含まれる場合には、当該契約に含まれる物件の単位ごとに適用する。
 教育研究用機器備品9万円×30 台=270 万円は、総額としては学校法人の採用する固定資産計上基準額10 万円を超えているが、当該契約に含まれる物件単位ごとに判定すると、教育用研究用機器備品9万円は10 万円未満である。したがって、教育研究用機器備品9万円×30 台=270 万円は通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことができる。一方、車輛130 万円は10 万円以上であることから、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことはできない。

② 所有権移転外ファイナンス・リースの場合
 ①に示した判定に加え、リース契約1件当たりのリース料総額が300 万円以下であるか否かも判定基準となり、いずれかに該当すれば通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことができる。なお、「リース契約1件」とは、契約書1通ごとを意味する。また、1つのリース契約に科目の異なる有形固定資産又はその他の固定資産が含まれている場合は、異なる科目ごとに、その合計金額により判定することができる。 
リース契約1件400 万円は、「リース契約1件当たりのリース料総額が300 万円」を超えているため、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことはできないようにも考えられる。しかし、当該400 万円の内訳は、教育研究用機器備品と車輛という異なる科目の有形固定資産が含まれているので、科目ごとに合計金額を算出すると、教育研究用機器備品は270 万円、車輛は130 万円となり、それぞれ300 万円未満となることから、結果として通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことができる。
 なお、分割することに合理性が認められないリース取引を分割して契約した場合を除く。
                                          

                                                   (公認会計士 芦 澤 宗 孝)

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